小さな昔話。書籍編

今や大抵の本はネットで買えるがもちろん買えない本もある。
そもそも「本は書店にあるもの」と決めつけちゃいけない。実はある種の専門書や研究所は書店では売られていない。出版社を経由してない本、というのは同人誌だけの専売特許ではないのだ。

たとえば、以前母に頼まれて探したちょっと特殊な山草辞典。簡単に見つかるかと思いきやタイトルすらみつからない。理由はすぐわかった。そもそもこの本は通常の出版ですらなく、元々花卉業界にしか流通してない本だったのだ。さらに部数も少なく、古書店にも全く出回っていない。紀伊國屋などのWebでもダメだった。
で、わずかなヒントから最後は電話攻勢で花卉関係の業者の連絡先をもらい、あちこち追いかけてやって見つかった。
なんと栃木県の片隅、小さな倉庫で肥料袋の横に積まれていた。

北関東の片田舎の小さな花卉事務所。ばるばる尋ねてきた変な客なのに本当に親切に応対してくださったけど、
それ以上に個人的にも貴重な体験だった。

『かたわ少女』Act1 v5 が発表になっていました。

もっとも今回は新しい言語が追加されただけで内容はそれほど変わらないようです。
(v3~v4を猿のようにプレイしていれば話は別ですが)

Twintails Girl

[更新についてのブログ記事]
http://katawashoujo-ja.blogspot.com/2011/04/act-1-v5.html

[かたわ少女]
http://www.katawa-shoujo.com/

タイムパラドックスの話

以下は実話。

誰かがこう言った。
「これほどの被害を誰も警告に来なかったなんて。やっぱりタイムマシンとか夢物語なんだなorz」
ある人が答えた。
「警告にきた人?いるんじゃないか?ただ一部の人しかそれを信じなかっただけさ」

こんなとこに津波は来ないと嘲笑されつつも自腹で避難所作成、70人の命をすくった爺さん。
無駄遣いと言われつつも「児童が安全に逃げられるように」避難所直結の通路を学校から作った校長先生。
「津波てんでんこ」を形にするため、全国の教育機関に配布されている災害時避難の要綱を軒並み無視して独自の訓練を重ね、登校していた生徒全員が無事という結果を残した小学校。

もしタイムマシンで警告にきた人がいたとしたら?
彼はおそらくまず東電に行ったのだけろうけど、どこの馬の骨ともつかない人間の言葉なんて、欲に固まった連中の耳には入らなかったろう。政府は担当者がころころ変わるので話にならなかったのかもしれない。
時の記述は書き換えられない。マクロレベルでは、タイムパラドックスは起こらないのか。

ただ、それはあくまでマクロレベルの話だ。
もしかしたら、この避難所作ったじいさんに「逃げ場を作らなくては」と吹き込んだ人の中に未来人が混じっていたのかもしれない。避難訓練の提案をする時に「津波てんでんこ」を皆が思いだしカリキュラムを作り直すように誘導した人々の中に、あるいは避難経路がまずくないかと責任者に申し上げた誰かがそうだったのかもしれない。マクロレベルでは無理でもせめて草の根と。
あるいはもっと遡り、世界一とまで讃えられる耐震構造の推進など。

悲劇は確かに避けられなかった。
だが「時間旅行なんてできないんだな」と考えてしまうのも早計な話。丘の上で出会った未来の少女が、実は……のあの古くさくてロマンティックな物語のように。

SF者のはしくれとしては、そう申し上げたい。