ご存知、兼好法師の随筆『徒然草』。有名なんだけど原文を読んだ事のある人は、どれだけいるのだろう……古文だしなぁ。
ちょっと興味をもって現代語訳を作っているサイトを見ていたら、面白い一節をみつけた。
http://www.geocities.jp/hgonzaemon/turezuretext.html
上の、第百十六段。
寺院の号(ガウ)、さらぬ万(ヨロヅ)の物にも、名を付くる事、昔の人は、少しも求めず、たゞ、ありのまゝに、やすく付けけるなり。この比(コロ)は、深く案じ、才覚(サイカク)をあらはさんとしたるやうに聞ゆる、いとむつかし。人の名も、目慣れぬ文字を付かんとする、益(エキ)なき事なり。
何事も、珍しき事を求め、異説(イセツ)を好むは、浅才(センザイ)の人の必ずある事なりとぞ。
ほうほう、これはなかなか深い。
こうしてテキスト化してもらえると僕でも少し読めるのだけど……ほほう。
もう少し読みやすくしてみようか?
僕は素人なので、リンク先の方のような訳はあいにくとできかねますが。
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寺院の号、またその他の色々な物にも、名をつける事、昔の人は、少しも求めず、ただあるがままに、気楽につけていた。
(なのに)最近は、深く考え、(自分の)才覚を顕示したいのかと思える。なんだかなぁ。人の名も、見慣れない文字を使ったりする、なんの得にもならないのに。
何でもそうだけど、珍しさやユニークさを求め、風変わりなものを好むのは、頭の悪い奴のする事だよ。
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うん、確かに。
いわゆる痛車の話。
僕は痛車って苦笑いは出るけど嫌いじゃないと思う。僕の趣味ではないけど、よっぽどその作品やキャラクタが好きなんだろうなぁと思うからだ。熱意というより怨念に近い執着も見える気がするけど、でも、何かがものすごく好きっていうのはとりあえずわかるし、そういうのは僕も嫌いじゃないんで。
だけど、なんていうか……珍名、いや、今風にいえばキラキラネームってやつか?
あれをつける人と似た臭いを感じるのも事実なんだよね。
たとえば、同じ車で「好き」を表現するなら、車名ロゴのところがサラッとアニメタイトルや作中に出てくる組織名に置き換わっているのか、そういう「見る人が見ればわかる」っていうのが、粋なんじゃねえかと思うんですけどね……。
そういや僕の恩人のお友達にあたる人の話で、普通の車なんだけど、給油口にサラッとF.S.S.のミラージュ騎士団のマーキングが入ってる人がいたとか。
ああ、そういうのわかるなぁと。
昔、僕が乗っていたホンダ・レブルなんだけど、実はハンドルのバーエンドに変なマーキングを入れていた。当時流行していたバイクまんがのヒツジの絵なんだけど、とても小さいし、そのためにわざわざ末端が平らなバーエンドを装着してたんだけど、そんなん誰もわかるわけないし。
でも当時、二人くらいは指さして笑ってくれたように思う。
うん、なんか懐かしいなぁ。
今はもうメリケンクルーザーの時代じゃないのはわかるけど、ああいう楽しいバイクを作ってくれないもんかな。