完結していたとは。: 三国志アイドル伝 ―後漢流離譚― 感想

この動画、もう何年も見ていたんです……完結していたと知って久々に、そして最後まで見ました。

連載七年。閑話や上中下編になった話など考慮すると140話以上におよび、再生時間合計はなんと50時間を超える、文句なしの大作です。
だけど、アイマスのアイドルたちを西暦208年にタイムスリップさせて三国志世界に関わらせるという、クロス作品としてもなかなかに難しいテーマを見事に描き上げ、完結にこぎつけた傑作といえます。
(はっきりいって、これほどの巨編で完結しただけでも凄いものがあるのですが。
しかし三国志に対する知識もアイマスに対する理解も凄まじいのひとことに尽きる。
でもプロではこんな描き方はたぶん無理。
素人作品だからこそできた傑作
と言えるでしょう)

長いから見るかどうか迷う?
迷うなら、とりあえず十話くらいまで、お試しと思って見てみてほしい。
ここまでならそう長くないし、
また、第一話あたりの稚拙な編集がレベルアップして、技術面でもよくなっていくので。

三国志アイドル伝 ―後漢流離譚―
http://www.nicovideo.jp/watch/sm2917979?ref=search_tag_video&ss_pos=1&ss_id=3be03c92-48cd-4476-94b4-540fbba8936c

閑話やら上中下に分かれている話も含めて、全部で140話を軽く超える超大作です。
何しろ連載開始時点では、まだアイマスDSすらなかった時代から2015年まで続いてたんですよこれ。

とんでもない大作であり、また、アイマス x 三国志 っていうマニアックなネタを本気で最後までやり遂げた超のつく傑作です。
見るのに時間がかかると思うけど、もし波長があうなら一見の価値はあると思います。

とても、とても切ないラストにあなたは何を思うか?

なお、以下はネタバレ感想です。
マジで盛大にネタバレしますので要注意


本作のラストを見ていて、ふと思いだしたのは、新井素子の怪作小説『絶句』の最終話(章?)。
(当時はラノベって表現がなかったから、ラノベ的作品ってことで)
いろんなものを精算する時、大切なパートナーがいなくなっている事について、死別という事にしといてくれと言う人がいるんですよね。
その心は。
「誰もかれもがあいつの事を忘れちまったら、あいつのために酒を飲んでやれるヤツがいなくなっちまう」
そう。
消されてしまった彼女を覚えているのは、皆の記憶だけなんだから……。(たとえ彼女の残った世界線では、誰もが知るほどの有名人になったとしても)

本作はとてもお気に入りなんですが、以下の点が特によかったと思います。
特に嬉しかったのが……実は、ある意味大団円だけど、ある意味TrueEnd的な結末である事。

すなわち。
千早が帰れなかった事と、それを飲み込んだうえで未来に進む他の十名の姿です。

たぶん作者さん、賛否両論を覚悟したと思うんですよね。
でも、この選択をとった。
家族の事で悩んでいた千早に、どうしてこの時代にできた家族を捨てられるものかと。
だからこそ。

みんな、いろいろなカタチで過去に関わっていた。
だけど、千早はあまりにも深く関わりすぎた。
拾われた涼州で家族の一員として受け入れられ、そして事実上の馬族の長一家の嫁となり。
大切な人の子供までみごもってしまった。
すでにもう、この世界と離れられなくなっていたのだから……。
家族を失えない彼女には、それを切り捨てる事はもうできなかったわけで。

うん……色々と深い。

中盤時点でこのラストは予感してたんですよね。
特に67話の再会劇のあたりで。

帰る事を選んだとはいえ、旦那との事とかで後ろ髪ひかれていた千早。
その迷いがおそらく、妊娠の可能性があると知りつつも行為を止める事もなかった原因なんだろうなぁ。

若い女性だし、そもそも時間がゆっくりとでも動き出しているという時点で、妊娠の可能性も、そしてもし妊娠していたらどうなるかについても薄々感じてはいたはず。
そして、遅くなっても時間が動いていれば月のものは来るようになっていたはずで。
さとえ最愛の旦那さんとでも性交渉があったのならば、
何をさしおいても皆で帰ると心の底から思っていたのならば、
妊娠したら問題が起きるかも、と気にした可能性があると思うのですね。
年単位の時間があったんだから。

でも、それでも千早は気づかなかった。
その理由はたぶん、ひとつだと思うのですね。

おそらく千早は、悩み続けていた。
彼女の言葉通り、離れても想い続けるほどに心が向いていたから、
元の世界にも夢がある。
だけど、こちらにできた家族を捨てていく事になってしまう。
そんな板挟みを心の中にかかえていたからこそ。

だからこそ、妊娠の可能性に心がいかなかったんだろう。
それを帰れなくなる可能性のひとつとして、心のどこかで危機感をもっていなかったから。

他のメンバーは、それぞれの役職で活躍したりしたけど、家庭に入っていたのか千早だけだった。
だからこそ、この結末は充分にありうると考えていた。
結界に阻まれて妊娠が判明するというクリティカルな状況だったわけだけど、たとえばこれが、すでに娘か息子が生まれた後だったとしたら、彼女は皆の帰還を手伝うだけで最初から残る選択をしたろうから。

うん。
いいラストだった。掛け値なく。

ただ、ひとつだけ気になる事。
春香との契約が世界線を越えて続いている事で、彼女は仲間との絆を感じているふしがあった。
そして、おそらく春香より千早の方が先に亡くなる。
まぁ世界線を超えている契約に時間もへちまもないだろうけど。
契約の行方はどうなるのかとか、色々とちょっと気になりますね。

あと。
SF的に言わせてもらうと。

この世界ではどうやら、アイドルたちの行動によって変わった歴史のまま未来に進む模様。
遠い未来に、平行世界に干渉することのできる技術が開発されたとして。
この時代に可能性世界の分岐と世界間移動の痕跡なんて見つけちゃったら、彼らは何を思うだろうかと。

まぁとりあえず。
残された面々が編纂したらしい「あいどる」たちの史実とか、そういうのを後年の人がみつけるような話をどこかで見られたらなぁ、と思います。

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