ゲート外伝4巻の感想

『ゲート―自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり〈外伝4〉』の感想。

オーバーロードと並び、近年愛読している作品のひとつと言えます。まぁオバロと違って読みだしたのは本当に最近なのですが。

作者の作風と思われますが、本作にいわゆる勧善懲悪はないです。善意の人は基本的に誰かに食い物にされたり利用されるようになっていて、メインキャストどころか、そもそも主人公からして体よく利用されまくっています。よって、そういう状況を見ると腹がたつって人は本作を読むと健康を損なうかもしれません。

そんな本作の外伝シリーズは基本、本編で日本とのつながりが切れてから、再び日本への門が開かれるまでの異世界側の話 の最終部分でした。つまり、どうやって伊丹たちが日本に戻ったのか、そして、どうして異世界から地球への接続先が、伊丹の趣味の場所である同人誌即売会なんかに接続しちまったのかの解決編だったわけですが。

あいかわらず、うまいなと思います。

この作者さんのパターンとして、絶望的な状況をギリギリまで盛り上げてから、最後に一気に畳み込んで大団円させるってスタイルをとります。これは本編の終盤でもそうです。逆にいえば王道ワンパターンなんですけど、「この風呂敷をどう畳むのさ?」と、それでも読み手を飽きさせないのが作者さんの技能であると言えます。

個人的には、外伝に入ってから影が薄くなりつつあったレレイが中心人物となった外伝4は非常に楽しめました。あれだけの妨害にも関わらず、報われてよかった。

そして、前から悪い意味で気になっていたレディ嬢。彼女の立ち位置って実はニニャ嬢と大差なかったわけですが、個人的に嫌いだったのは、あくまでニニャが善意と理想論で行動しているのに対し、悪意と唯我独尊のみで、しかも自分では口先で他人を引きずり落とし、一歩も動かずに利益だけむさぼる種類の人間だったから。ニニャと違って現実を見ている皇帝陛下でさえ、きちんと自分の利益と国益が合致するようにしていたのに、レディ嬢は自分が皇帝の座について他者の上であざ笑う事しか考えてないのが見え見えだった……まぁ、極めてわかりやすい悪役ですけど、実際、こんなのが国にトップになったらダメってのは素人でもわかる事。物語としては良い幕引きでしょう。これで再登場したら、さすがにくどいです。

相変わらず自衛隊陣営が良心的で、あくまで自衛隊の者として善意の行動をとるのが「いかにも」で良かったですね。悪く言えば甘っちょろいわけで読んでいてイラッとくる事もあるんですけど、たとえ事実上の日本軍と見られていても自衛隊は自分たちを日本軍と言ってはいけないし、覇権国家的な行動もとっちゃいけないってのを徹底していて、これも結果として好印象でした。

ストーリー的な意味で気になったのは、 レレイ の妨害工作をした職人たちですね。特に終盤にやらかした門の破壊は、さすがに「脅されたから」で許すわけにはいかないでしょう。日本語で汚職というと立場を悪用して色々やらかす事ですけど、職を汚すという文字の意味で言えば、間違いなく彼らは職を汚したんですから。その事実は変わらない。

──彼らの結末が知りたいところです。

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